ここまでの回では、プロフィール、取扱業務、活動実績と、サイトに「何をどう整えるか」を一つずつ見てきました。今回は少し視点を変えます。テーマは、整え方そのものではなく、その手前にある意思決定です。
AI検索(AIO)対応が必要だと分かったとして、では、今ある自分のサイトをどうするのか。構造化データを今のサイトに後から組み込んで延命させるのか、それとも、いっそ作り直すのか。今回は、その見極めの基準を整理します。ご自身のサイトを思い浮かべながら読んでいただくと、判断の手がかりになるはずです。
「直す」には、二つの道がある
AI検索に対応させたいと思ったとき、進み方は一つではありません。大きく分けて、二つの道があります。
ひとつは「部分対応」。
今のサイトはそのまま使い続けて、足りていない構造化データを後から組み込む方法です。サイト全体を作り変えるのではなく、必要な部分に手を入れて延命させる、というイメージです。
もうひとつは「作り直し(リニューアル)」。
サイトを一から作り直し、その過程で構造化データも最初から組み込む方法です。
大切なのは、どちらが正解と決まっているわけではない、ということです。部分対応で十分なサイトもあれば、思いきって作り直したほうが結果的に得なサイトもあります。分かれ目は、今のサイトがどんな状態にあるか。ここを見極めることが出発点になります。
部分対応で済むのは、どんなサイトか
まず、部分対応が向いているケースから見ていきます。次のような状態のサイトであれば、構造化データを後から組み込む部分対応で、コストを抑えてAI検索に対応できる可能性が高いです。
- 今のサイトが、現役のシステム(CMS)で動いていて、更新も問題なくできている
- スマートフォンでの表示が、きちんと整っている
- デザインや載せている内容に、大きな不満がない
- ページの構成(プロフィール・取扱業務・コラムなど)が、ある程度整理されている
これらに当てはまるサイトは、いわば土台がしっかりしている状態です。家にたとえれば、構造や間取りはしっかりしていて、あとは必要な設備を追加するだけ。そういうサイトなら、わざわざ建て直さなくても、構造化データという「AI向けの設備」を後付けすることで、十分に対応できます。費用も期間も、作り直しに比べてずっと抑えられます。
作り直しを検討すべきサイン
一方で、部分対応では限界があり、作り直しを検討したほうがよいケースもあります。次のようなサインが複数重なっているなら、注意が必要です。
- 使っているシステムやテンプレートが古く、改修そのものが難しい、あるいは更新が止まっている
- スマートフォンで見ると表示が崩れる、または見づらい
- デザインや内容が全体的に古びていて、そもそも作り変えたいと感じている
- 制作から年数が経っていて、今どきのサイトの作りに合っていない
こうしたサインがいくつも当てはまる場合、構造化データだけを無理に組み込んでも、土台そのものが弱いため、効果が十分に出にくいことがあります。先ほどの家のたとえで言えば、土台や柱が傷んでいる家に最新の設備だけ入れても、家全体の価値はなかなか上がりません。それなら、部分対応を何度も重ねるより、思いきって作り直したほうが、結果的に手間も費用も抑えられることがあるのです。
特に、AI検索への対応は、構造化データだけで完結する話ではありません。スマートフォンでの見やすさや、サイト全体の構成の分かりやすさも、土台として効いてきます。土台に不安があるなら、作り直しを前向きに検討する価値があります。
自己診断:あなたのサイトはどちらの道か
では、ご自身のサイトがどちらの道に向いているのか、簡単に自己診断してみましょう。次の問いを、上から順にたどってみてください。
Q1 今のサイトは、スマートフォンで見やすく表示されますか?
→ はい:Q2へ進んでください。
→ いいえ:作り直しの検討をおすすめします。スマホ対応は土台の問題なので、部分対応だけでは解決しにくい部分です。
Q2 サイトを動かしているシステムは現役で、更新も問題なくできていますか?
→ はい:Q3へ進んでください。
→ いいえ:作り直し、または専門家への相談をおすすめします。改修が難しい土台では、部分対応に無理が生じることがあります。
Q3 デザインや載せている内容に、大きな不満はありませんか?
→ はい:部分対応が有力です。土台が整っているので、構造化データの後付けで対応できる可能性が高いです。
→ いいえ:作り直しの検討をおすすめします。どうせ手を入れるなら、AI検索対応もまとめて行うほうが効率的です。
いかがでしょうか。Q3まで「はい」でたどり着けたなら部分対応が有力、途中で「いいえ」が出たなら作り直しや相談を検討、というのが大まかな目安です。もちろん、これはあくまで簡易的な目安で、実際にはサイトごとに事情が異なります。「どちらとも言えない」「判断に迷う」という場合も、当然あると思います。
どちらの道でも、出発点は「今の状態を知る」こと
部分対応にせよ作り直しにせよ、共通して言えることがあります。それは、まず「今の自分のサイトがどんな状態にあるか」を正しく知ることが、すべての出発点になる、ということです。
ところが、ここまでの回で繰り返しお伝えしてきたとおり、サイトの本当の状態は、ご自身で眺めているだけでは見えてきません。構造化データが入っているか、土台がAI検索に耐えられる状態か――こうした判断は、専門的な視点がないと難しいものです。先ほどの自己診断で「どちらとも言えない」に行き着いた先生は、なおさらです。
当社の「士業サイトのAI検索(AIO)適合度診断」では、サイトの構造化データの状態に加えて、土台がどんな状況にあるかも含めて、士業サイトを専門に手がけてきた当社の担当者が確認いたします。部分対応で十分なのか、作り直しを検討したほうがよいのか――その判断の材料として、まずは今の状態を知ることから始めていただければと思います。
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次回はいよいよ、業種別のチェックリストをお届けします。司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士――それぞれの士業で、特に押さえておきたいポイントを、実際に確認しやすいリスト形式で整理します。
士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門』記事一覧
→第1回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:なぜ実績豊富な先生のサイトがAI検索で「見えない」のか
→番外編:【号外】AI検索に『お気に入り登録』機能 ── 士業サイトに今、起きていること
→第2回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:構造化データという「AI用の身分証」を理解する
→第3回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:プロフィールページのAI検索(AIO)対応 -- 士業の「資格・登録番号」をAIにどう伝えるか
→第4回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:取扱業務ページのAI検索(AIO)対応 -- 「相続に強い」を証明する書き方


