士業サイトのSEO・AIO「ページタイトル作成術」― 同じ業務でも、お客様の悩み(検索意図)で言葉は変わる

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前回(前編)では、「キーワード網羅型」から「検索意図重視型」へと、検索の評価軸そのものが大きく変わってきたお話をしました。
お客様が何に困って検索しているのか、その「悩み」から逆算して情報を発信することが、今のサイト運営の前提になっている、というお話です。

では、この「検索意図」の考え方を、実際のサイト運営にどう落とし込めばよいのか。
今回はその第一歩として、最も影響の大きい「ページタイトルの作り方」を取り上げます。

ページタイトルは、検索結果でもAI検索の引用文脈でも、お客様が最初に目にする「事務所の入口」です。
ここが検索意図とズレていれば、どれだけ本文を丁寧に書いても、そもそも読んでもらえません。
本文を書く前に、まずタイトルから見直す。この順番が、これからのサイトには大切になります。

1. やりがちなNGタイトルのパターン

まず、士業サイトでよく見かける、検索意図とズレているタイトルのパターンを整理してみます。

× 「相続の手続きについて解説」

誰に向けた、何の手続きの解説なのかが分かりません。
「相続」は範囲が広すぎて、検索者の悩みが特定できないのです。

× 「労働基準法第〇条の改正について」

これは社労士のサイトで時折見かけますが、「法律の条文を学びたい人」しか引き寄せられないタイトルです。
実際に検索しているのは、改正への対応に困っている経営者のはずですが、その人の悩みには応えていません。

× 「就業規則の作成・見直しサポート」

業務名をそのまま並べたタイトルです。
検索者が知りたいのは「自社の就業規則は今のままで大丈夫か」「どのタイミングで見直すべきか」。
サービスメニューの羅列では、その入り口にはなりません。

これらに共通するのは、専門家側の視点で書かれているという点です。
資格者にとっては自然な言葉ですが、検索しているお客様の頭の中とは、ズレています。

2. BtoCのタイトル作成術 ― 同じ「相続」でも、資格で狙う本音が違う

ここから、検索意図に応えるタイトルの作り方を、業務別に見ていきます。

BtoC(個人客)で最も難しいのが、相続の領域です。
なぜなら、一般の方からすると、「相続って、弁護士・税理士・司法書士・行政書士、結局どこに相談すればいいのか分からない」というのが最大のペインだからです。

ここで効くのが、「自分の資格が解決できる、特定の悩み」にピントを合わせるタイトル設計です。
「相続全般を扱っています」ではなく、「こういう状況で困っている方は、私たちの出番です」と示してあげる。
これによって、迷子になっている検索者を、自分の事務所に正しく引き寄せられます。

同じ「相続」というテーマでも、資格ごとに狙うべき検索意図はまったく違います。

司法書士サイトのページタイトル例(相続登記)

  • 「相続登記の手続き」
  • 「3ヶ月を過ぎても間に合う?相続登記の進め方」
  • 「兄弟で揉めずに進める相続登記の段取り」

→ 司法書士が引き寄せたいのは、「登記の名義変更で困っている人」です。
期限を気にしている方、相続人同士で話を進めたい方の悩みに、ピンポイントで応えます。

税理士サイトのページタイトル例(相続税)

  • 「相続税の計算方法」
  • 「相続税が「かかる/かからない」の境目を5分で判断」
  • 「相続発生から10ヶ月、申告までに準備すべきこと」

→ 税理士が引き寄せたいのは、「相続税の負担を心配している人」「申告期限を意識している人」です。
一般の方は、そもそも相続税がかかるかどうかも分かっていません。そこに最初に応えてあげるタイトルが効きます。

行政書士サイトのページタイトル例(遺言・相続関連書類)

  • 「遺言書の作成について」
  • 「自筆遺言、書き直しが必要になるよくあるケース」
  • 「相続人が10人を超える場合の遺産分割協議書の進め方」

→ 行政書士が引き寄せたいのは、「書類作成の段階で困っている人」です。
遺言や協議書の作成段階で生じる、実務的なつまずきに応えます。

弁護士サイトのページタイトル例の例(相続争い)

  • 「相続トラブルのご相談」
  • 「兄弟間で話がまとまらない相続、最初にやるべき3つのこと」
  • 「親の介護をしていた人が、相続で損をしないために」

→ 弁護士が引き寄せたいのは、「相続人同士で揉めている人」「争いに発展しそうな状況にある人」です。
漠然と「トラブル」と書くより、具体的なシーンを描く方が、当事者に届きます。

同じ「相続」でも、検索者の状況が変われば、引き寄せたい人も変わります。
自分の資格は、相続のどの場面で出番なのか。それを言語化することが、タイトル作りの出発点です。

3. BtoBのページタイトル作成術 ― 「リスク回避」と「経営判断」に応える

法人向けの発信では、検索者の頭の中がBtoCとはまったく違います。
法人の検索者(人事担当者、経営者、総務担当)が本当に知りたいのは、自社のリスク回避経営判断に必要な材料の2点です。
条文の解説や制度の概要は、求めていません。

社労士サイトのページタイトル例(法改正対応)

  • 「労働基準法第〇条の改正について」
  • 「2024年の労基法改正、放置すると罰則も ― 中小企業がまず取るべき3つの対応」

→ 「条文の解説」ではなく、「放置するとどうなるか」「何をすべきか」を示すタイトルにすると、リスクを気にしている経営者の検索意図に応えられます。

社労士サイトのページタイトル例(就業規則の見直し)

  • 「就業規則の作成・見直しサポート」
  • 「10年前のままの就業規則、今のリスクに対応できていますか?」
  • 「訴訟リスクを下げる就業規則 ― 中小企業がまず見直すべき条項」

→ 就業規則は「作っている/作っていない」だけが論点ではありません。
古い就業規則のまま放置されているリスクを切り口にすると、見直しを検討している経営者の検索意図にフィットします。

行政書士サイトのページタイトル例(建設業許可)

  • 「建設業許可の申請代行」
  • 「500万円以上の工事を請けるなら必須 ― 建設業許可、取得タイミングの判断基準」
  • 「5年ごとの更新を逃さないために ― 建設業許可のスケジュール管理」

→ 建設業許可は「取るべきか」「いつ取るか」「更新を逃さないか」が経営者の検索意図です。
条文の解説ではなく、事業判断に必要な情報を切り口にします。

BtoBのタイトル作りで意識すべきは、検索者が社内で説明する立場にあるという点です。
タイトルを見た瞬間に「これは上司や役員に共有できる情報だ」と判断できる。
そういう実用性が、問い合わせにつながる入口になります。

4. 検索意図ベースのページタイトル設計チェックリスト

ここまでの考え方を、実際にタイトルを作る場面で使える形に整理しておきます。

タイトルを書く前に、以下の4つを自問してみてください。

  • 検索しているのは、どんな状況の人か(個人か法人か、急いでいるか、検討中か)
  • その人の本音はどこにあるか(表向きのキーワードの奥にある、不安や課題)
  • 自分の資格は、その悩みのどこに出番があるか(関連業務すべてを書くのではなく、自分の出番に絞る)
  • タイトルの言葉は、一般の方が使う言葉になっているか(専門用語ばかりになっていないか)

特に4つ目は、士業の先生方が最も陥りやすい落とし穴です。
「遺産分割協議」は専門家の言葉、「兄弟で話し合って遺産を分ける」は相談者の言葉。
同じことを指していても、検索される言葉は後者です。

5. まとめ:「自分は何の専門家か」ではなく「お客様はどんな状況か」から逆算する

前後編を通してお伝えしてきたのは、検索の世界で求められていることの変化です。

かつてのSEOは「自分が何の専門家か」を強くアピールすることが王道でした。
「相続の専門家」「労務の専門家」と書き、関連情報を網羅する。
それで上位を取れた時代がありました。

しかし、今はもう一歩、踏み込む必要があります。
「自分は何の専門家か」ではなく、「お客様はどんな状況で検索しているか」から逆算する。
相続で揉めている方は、「弁護士」という言葉より「兄弟のトラブル解決」という言葉に反応します。
問題社員に悩む経営者は、「労働法務」という言葉より「不当解雇のリスクを避ける方法」という言葉に反応します。

検索意図を読み解くという作業は、目の前の相談者に親身に向き合う姿勢と、本質的には同じことです。
先生方が日々の実務で発揮されている「相談者の本当の悩みを汲み取る力」を、サイトのタイトルや文章にそのまま乗せていく。
それが、これからの士業サイトの発信に求められる、一番大切な考え方です。

今後も士業サイトの運営に役立つテーマで、引き続きコラムをお届けしていきます。

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取締役/WEBディレクター 加藤 忠

士業のホームページ制作に20年以上関わってきました。
日本でのインターネット創世記よりホームページをコツコツ作りはじめてかれこれ30年、グラフィックからWebまわりまで制作の人間ならではの、よりリアルで丁寧なご説明をさせて頂きます。今はAI検索(AIO)について日々研究中
有限会社ポーカー・フェイスは、士業特化21年/Web制作30年の実績を誇り、これまでに累計1,300件以上のWebサイト制作・運用に関与してまいりました。 士業分野に特化したWeb関連の専門知識とノウハウを有し、業界を牽引するリーディングカンパニーとして高い評価をいただいています。
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