ChatGPTやGoogleのAI検索で、クライアント候補が「◯◯市で相続に強い司法書士」「インボイス対応に詳しい税理士」と尋ねる時代が、すでに始まっています。
数年前まで「ホームページからの問い合わせ」と言えば、Google検索で上位に表示されたサイトを利用者がクリックして連絡してくる、という流れが一般的でした。しかし今、その「最初の接点」がAIに置き換わりつつあります。利用者は検索結果を一覧で見比べることをやめ、AIが提示した数名の専門家の中から選ぶ。そういう動きが急速に広がっています。
先生のサイトには、立派な経歴と豊富な実績が掲載されているはずです。しかし、その情報はAIにも「本物の有資格者によるもの」として正しく伝わっているでしょうか。
実は今、人間の訪問者とAIでは、サイトの「見ている場所」が決定的に違うのです。
1. AIは「言葉」ではなく「構造」で判断する
人間の訪問者は、プロフィール写真、経歴の文章、所属会の記載を「目で見て」信頼性を判断します。「東京司法書士会所属、登録番号◯◯号」と書かれていれば、それを読んで「ああ、正規の資格者だな」と理解する。これは当然のことです。
しかしAIは違います。AIが見ているのは、ページの裏側にある「構造化データ」と呼ばれる、機械にしか読めない情報です。
たとえば「司法書士 山田太郎」という文字を、人間は一目で「司法書士という資格を持つ山田太郎さん」と理解しますが、AIにとってそれは単なる文字列の並びでしかありません。ここにSchema.orgというルールに基づき、Person(人物である)、hasCredential(保有資格はこれ)、memberOf(所属団体はここ)、areaServed(対応エリアはここ)といったタグを埋め込んで初めて、AIは「これは正規の有資格者で、この団体に所属し、このエリアで活動している専門家である」と、確信を持って判断できるようになります。
いわば、構造化データはAIだけが読める「専門家としての身分証」です。
ここで重要なのが、人間用のプロフィール文章と、AI用の構造化データは、まったく別物だということ。サイトに「私は司法書士です」と100回書いても、構造化データが入っていなければAIには伝わりません。逆に、構造化データが正しく整備されていれば、たとえ自己紹介文が簡素でも、AIは「本物の資格者」として認識します。
人間用の見せ方と、AI用の伝え方。この両方を整えることが、今のサイトには求められているのです。
2. なぜ古いサイトはAI検索(AIO)で「損」をするのか?(構造化データの欠如)
ここで問題になるのが、サイトの「築年数」です。
5年以上前に制作されたサイトの多くは、そもそも構造化データが組み込まれていないか、組み込まれていても古い記法のままになっています。当時はGoogle検索で順位を上げるためのSEO対策が中心で、AIによる解釈は重要視されていませんでした。テンプレートやCMSも、そこまで考慮されて作られていないものがほとんどです。
その結果、何が起きるか。
- リッチリザルトに選ばれにくくなる:検索結果に表示されるリッチリザルト(経歴や評価が目立つ形で表示される機能)に選ばれにくくなること。同じ検索結果ページの中でも、構造化データを実装しているサイトは見た目から有利な位置を獲得していきます。
- AI Overviewで参照されない:GoogleのAIによる概要回答(AI Overview)で参照されないこと。検索結果の最上部に表示されるAI回答に名前が引用されるかどうかは、これからの集客に大きく影響しますが、ここに採用される条件のひとつが構造化データの整備状況だと言われています。
- 対話型AIに専門家として認識されない:ChatGPTやPerplexity、Claudeといった対話型AIに「この分野の専門家」として認識されないこと。これらのAIは、ウェブ上の情報を機械が解釈しやすい形で吸い上げて回答を生成しています。構造化データがないサイトの情報は、そもそも「専門家の発言」として扱われにくいのです。
つまり、サイト自体は存在しているのに、AIの世界からは少しずつ「いない人」になっていく、ということです。
実績も経験も豊富な先生が、開業数年目の若い士業に検索で先を越されるケースは、すでに各地で起きています。原因の多くは、実力の差ではなく、サイトの「器」がAI検索(AIO)の時代に対応していないことにあります。20年の実績よりも、3年目の事務所の整ったサイトの方が、AIに「見つけてもらえる」状況が現実に起きているのです。
ここで強調しておきたいのは、これは「サイトのリニューアル時期だから直しましょう」という話ではないということ。AIから認識されないサイトは、リニューアルしない限り、その状態のまま放置されます。そして問い合わせは、静かに、着実に減っていきます。
3. 「本物の専門家」だけが勝つ時代へ
なぜGoogleやAIは、ここまで「構造」にこだわるようになったのでしょうか。
背景にあるのが、AIのハルシネーション(もっともらしい嘘)問題です。AIが架空の弁護士名を生成してしまったり、無資格者を専門家として紹介してしまったりすれば、利用者の不利益は計り知れません。特に士業のように、資格制度に裏付けられた信頼産業においては、この問題は致命的です。相続、税務、労務、登記。どれも誤った専門家にあたれば、利用者の人生や財産に直接的なダメージが及びます。
そこでGoogleが強く打ち出しているのが、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)という評価指標であり、その中でも「検証可能な資格者であること」の重視です。「自称」では足りない。「証明」が求められる時代に入っています。
構造化データは、まさにこの「証明」を機械可読な形で提示する仕組みです。所属会の情報、登録番号、取扱分野、執筆実績、講演・登壇歴、メディア掲載歴。これらを正しく構造化することで、AIに対して「この人は本当に資格を持ち、この分野で活動している専門家です」と、データのレベルで宣言できる。
司法書士であれば「相続登記の専門家」として、税理士であれば「事業承継に強い実務家」として、社労士であれば「労務トラブル対応の経験者」として。AIに正確に伝わるかどうかが、これから問い合わせを受けられるかどうかの分岐点になります。
逆に言えば、これを整備していないサイトは、これからAI経由の問い合わせがゼロに近づいていく可能性があります。
現時点では、まだ「AI経由の問い合わせ」が全体の中で占める割合は限定的かもしれません。しかし、ここ1〜2年の変化のスピードを考えれば、3年後には主要な集客チャネルになっていてもおかしくありません。そのとき、すでにAI検索(AIO)対応を終えた事務所と、これから着手する事務所では、明らかな差がついています。
今、サイトの「器」をAI検索(AIO)に対応させることは、5年後、10年後の集客格差に直結する投資なのです。
4. まとめ
人間向けのデザインを磨くこと。これは今後も変わらず大切です。プロフィール写真、わかりやすい料金表、安心感のある事務所紹介。これらは利用者が最終的に「ここに相談しよう」と決める瞬間に、強く効いてきます。
ただし、それと並行して、AIに対して「自分は何者か」を機械が読める言葉で正しく伝える準備が、これからの士業サイトには欠かせません。人間に選ばれる前に、まずAIに「候補」として認識される必要があるからです。
まずは、ご自身のサイトが今、AIにどう映っているのかを知ることから始めてみてください。
近日、当社では「士業サイトのAI検索(AIO)適合度診断」 のサービスを開始します。先生のサイトに構造化データが正しく実装されているか、AIから見て「本物の専門家」として認識される状態になっているか、士業サイトを専門に手がけてきた当社の担当者が無償で診断いたします。
詳細は近日中に当社ホームページやメルマガでご案内いたしますので、もう少しお待ちください。AI検索(AIO)時代の士業サイトのあり方を、ご一緒に考えていければと思います。


