
「士業サイトのAI検索(AIO)対策入門」と題して、8回にわたってお届けしてきたシリーズも、いよいよ最終回となりました。
これまで、構造化データという「身分証」の考え方から始まり、プロフィール、取扱業務、活動実績、古いサイトの判断基準、業種別のチェックリストと、「何をどう整えるか」を順を追ってお話ししてきました。最終回となる今回のテーマは、整えたあとに必ず気になる問いです。
「自分のサイトは、本当にAIに認識されているのだろうか?」
そして、最終回をお届けするタイミングがちょうど良い節目になりました。
ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、実は2026年6月、検索の世界では大きな動きがあったのです。
GoogleとBingという二大プラットフォームが、ほぼ同時期に、AI検索における露出を測るための新しい仕組みを動かし始めました。今回は、こうした最新の動きも織り交ぜながら、効果測定について整理していきます。
「直して終わり」ではない — なぜ効果測定が要るのか
AI検索への対応は、整えたら終わり、ではありません。構造化データを実装し、プロフィールや取扱業務、活動実績を正しく整えても、その先には「整えた結果がどう出ているか」を確かめる段階があります。
これは士業の業務にも通じる感覚かもしれません。書類を整えて申請したあと、結果が無事に出ているかを確認するように、サイトも整えただけで放置するのではなく、ちゃんと効いているかを見届ける必要があります。
そして、ここでもこの連載でずっとお伝えしてきたことが当てはまります。AIにどう認識されているかは、ご自身でサイトを眺めているだけでは分からない、ということです。整えた成果がどう現れているかを知るには、別の角度から見る必要があります。今回はその「別の角度」を、三つの方向からご紹介します。
方法その1:AIに直接尋ねてみる — 今日からできること
最も手軽で、それでいて実感が得られやすいのが、ご自身でAIに直接尋ねてみる方法です。今日からすぐにできます。
ChatGPT、GoogleのAI Overview、Perplexity、Gemini——どれでも構いません。普段クライアント候補が使いそうな問いかけを、ご自身でAIに投げかけてみるのです。たとえば「東京の新宿区で相続に強い司法書士は?」「インボイスに詳しい税理士は?」「就業規則の見直しを頼める社労士は?」。第1回で「クライアント候補がAIに尋ねる時代」とお伝えしましたが、それを今度は先生ご自身の側で再現してみるわけです。
そこで、ご自身の名前や事務所名が候補として挙がってくるか。あるいは、まったく出てこないのか。出てくるとしたら、どんな文脈で紹介されているのか。この素朴な確認が、AIにどう認識されているかを知る、最も直接的な手段になります。
ただし、この方法には限界もあります。AIの回答は尋ね方で結果が変わりますし、同じ問いでも毎回少しずつ違う答えが返ってくることがあります。一度試して出てこなかったからといって、すぐに「認識されていない」と結論づけるのは早計です。表現を変えていくつか試してみる、別のAIでも同じことを聞いてみる、といった工夫をすることで、ある程度の傾向はつかめます。
精密な測定とは言えませんが、肌で感じられるという意味では、これに勝るものはありません。まずは一度、お試しいただくことを強くおすすめします。
方法その2:構造化データを検証ツールで確かめる
二つ目は、サイトの裏側にある構造化データそのものを、専用のツールで検証する方法です。
代表的なのが、Schema.orgの公式ツール「Schema Markup Validator」と、Googleが提供する「リッチリザルト テスト」です。これらに自分のサイトのURLを入力すると、そのページに構造化データが正しく実装されているか、エラーや警告はないかが判定されます。これまでの回でお話ししてきた「裏側」を、まさに直接覗ける道具です。
もっとも、これらのツールは士業の先生がご自身で操作することを前提にはしていません。表示される情報は技術的なもので、エラーメッセージを読み解くには専門知識が要ります。覚えていただきたいのは、こうしたツールの存在そのものです。「自分では使わなくても、こういう検証手段があり、専門家はこれで確認している」と知っておくこと自体が、サイトの状態を任せきりにせず、把握しておく姿勢につながります。
ご自身のサイトがどうなっているか気になったら、制作会社や診断窓口にこのツールでの確認結果を尋ねてみる、という使い方ができます。
方法その3:公式の測定ツールが動き出した — 2026年6月の節目
そして三つ目が、冒頭で触れた最新の動きです。
2026年6月、GoogleとBingが立て続けに、AI検索における露出を可視化する新しい仕組みを動かし始めました。
検索の二大プラットフォームが、ほぼ同じ時期にこの動きを見せたことは、AI検索が「測られるべきもの」へと変わりつつある節目を象徴しています。それぞれ簡単にご紹介します。
Googleの「生成AIパフォーマンスレポート」(6月3日発表)
Googleが管理ツールであるSearch Consoleに、AI OverviewやAI Mode、Discoverの生成AI機能の中で、自分のサイトがどのくらい表示されているかを確認できるレポートを追加しました。表示回数、対象ページ、国、デバイス、日付ごとに状況が分かります。
ただし、二つの注意点があります。ひとつは、現時点ではイギリスのサイトから先行提供されている段階で、日本での本格提供はこれから、ということ。もうひとつは、現時点では「何回表示されたか」は分かっても、クリック数や検索キーワードまでは見られない仕様だということです(将来的に追加予定とされています)。とはいえ、Google自身がこの領域を測り始めた、という事実そのものが、今後の動きを示しています。
Bingの「AI Performance dashboard」(6月16日に機能追加)
BingもWebmaster Toolsに「AI Performance dashboard」というプレビュー機能を提供しており、6月にいくつかの新機能が追加されました。注目すべきは「Citation Share(引用シェア)」という指標で、ある問いかけに対してAIが引用した先のうち、自分のサイトが何パーセントを占めたかが分かります。さらに、AIへの問いかけを意図やテーマで分類して、自分のサイトがどんな話題で引用されやすいかを見られる機能も追加されました。
こちらは英語圏中心の公開ですが、日本からもプレビュー版にアクセスできる状態です。Bingでの動きは、Microsoft CopilotがAI回答にBingの引用を使っている関係で、AIに引用されるかという観点でじわじわと重要性が増していく可能性があります。
これらの公式ツールは、士業の先生がご自身で日々の数字を追うものではありません。むしろ覚えておいていただきたいのは、「測れる時代がもう始まっている」という事実そのものです。AIに認識されているかは、もはや感覚的な話ではなく、データで見られる対象になりつつあります。日本でも本格的に使えるようになる日は、そう遠くないはずです。
入門編を閉じるにあたって — 8回の歩みを束ねる
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。最終回ですので、シリーズ全体を一度束ねさせてください。
第1回・第2回では、AI検索の時代に「人間とAIではサイトの見ている場所が違う」こと、そしてAIが読んでいる構造化データという「身分証」の正体について、考え方の土台をお話ししました。
第3回・第4回・第5回では、その身分証の中身を一つずつ整えていきました。プロフィール(この人は誰か)、取扱業務(この事務所は何ができるか)、そして活動実績(外部とたどれる形でつなぐ)。人物・サービス・実績が相互に結びついて、サイト全体が「ひとつの専門家の確かな情報」として認識される——ここまでが、整え方の話でした。
第6回・第7回では視点を変えて、ご自身のサイトをどう判断するか(部分対応か作り直しか)、業種別に何を確認すべきか、を整理しました。
そして今回(第8回)が、整えた結果をどう確かめるか、という最後の問いでした。
言ってみれば、「整える(第2〜5回) → 判断する(第6回) → 確認する(第7回) → 測る(第8回)」という流れで、AI検索(AIO)対応の全体像を一通りお届けしてきたことになります。
AI検索を取り巻く状況は、これからも目まぐるしく変わっていくと思います。新しいAIが登場し、新しい測定ツールが出てきて、業界の常識も少しずつ更新されていく。けれども、土台となる考え方——本物の専門家として、決まった書式で正しく自己紹介し、外部とたどれる形でつながり、自分の実績を裏づけのある形で示しておく——この一点は、当面変わらないはずです。これさえ押さえておけば、新しい動きにも落ち着いて対応していけます。
これからのお付き合いについて
入門編はここで一区切りですが、AI検索の話題はこれからも折に触れて取り上げていきたいと考えています。冒頭でも申し上げたとおり、毎週のように新しい動きが出てくる領域ですので、重要なニュースや士業サイトに関わる変化があれば、そのつどお届けしていきます。
一方で、AI検索ばかりが続いても飽きてしまいますので、間にはまた別のテーマも挟んでいく予定です。サイト運営、士業の集客、信頼を伝える工夫など、先生方の事務所運営に役立つ話題を、これからもお届けできればと思います。
そして、シリーズで何度もご案内してきた「士業サイトのAI検索(AIO)適合度診断」は引き続きご利用いただけます。今回ご紹介した手動の確認方法を試してみて、何か気になる結果が出た先生、あるいは「裏側まできちんと確かめたい」と感じられた先生は、ぜひ一度ご相談ください。メルマガをご購読の方から無料で受け付けております。一般の受付は後日ご案内いたしますので、暫しお待ちください。
また、近日中に既存のサイトに後から構造化データを組み込むサービスについても、メルマガにて改めてご案内いたします。リニューアルとなると規模が大きくなりますが、今のサイトを活かしたまま、AI検索に対応していく道もあります。詳しくはそちらのご案内をお待ちください。
最後になりますが、8回にわたるシリーズに最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。先生方のサイトが、AI検索の時代にもしっかりと「見つけてもらえる」存在であり続けるよう、当社も引き続き伴走してまいります。
また次のコラムでお会いしましょう。
士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門』記事一覧
→第1回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:なぜ実績豊富な先生のサイトがAI検索で「見えない」のか
→番外編:【号外】AI検索に『お気に入り登録』機能 ── 士業サイトに今、起きていること
→第2回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:構造化データという「AI用の身分証」を理解する
→第3回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:プロフィールページのAI検索(AIO)対応 -- 士業の「資格・登録番号」をAIにどう伝えるか
→第4回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:取扱業務ページのAI検索(AIO)対応 -- 「相続に強い」を証明する書き方
→第5回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:執筆・登壇・メディア掲載をAIに正しく伝える方法
→第6回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:古いサイトを延命させる部分対応 vs 作り直す判断基準
→第7回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:業種別チェックリスト(司法書士・税理士・社労士・行政書士・弁護士・弁理士)


