
── Google『優先ソース』のAI検索拡張(2026年5月27日発表)を読み解く ──
シリーズ本編とは別に、号外として一本お届けします。
2026年5月27日、Googleが士業のWeb集客に直結する重要なアップデートを発表しました。Google検索の「AIによる概要(AI Overview)」と「AIモード」に、『優先ソース(Preferred Sources)』機能が拡張されたのです。ひとことで言えば、利用者が「この事務所のサイトはAI検索の回答で優先表示してほしい」と、自分の好みで指定できるようになる仕組みです。
AI検索(AIO)の世界で何が起きているのか、士業の先生方が今のうちから何を準備しておくべきか、整理してお伝えします。
1. 5月27日に起きたこと ── Googleが発表した3つの変更
今回のアップデートは、Google検索プロダクトマネージャーのDuncan Osborn氏が公式ブログで発表したもので、内容は大きく3つに分かれます。
変更1:「優先ソース」がAI検索の回答に拡張
これまで「優先ソース」機能は、検索結果の「トップニュース」欄に好きなサイトを優先表示する仕組みとして提供されてきました(日本語にも2026年5月1日に対応済み)。今回のアップデートで、この「優先ソース」が「AIによる概要」と「AIモード」の回答内にも適用されるようになります。
利用者が google.com/preferences/source というURLから「このサイトを優先ソースに加える」と登録すると、その利用者がAI検索を使ったとき、登録済みサイトの記事に「Preferred(優先)」というラベルが付き、目立つように表示されます。Googleの発表時点で、すでに345,000を超えるサイトが世界中の利用者に優先ソースとして選ばれているとのことです。

対象になるのはニュースメディアに限りません。定期的に新しいコンテンツを公開しているウェブサイトであれば対象になる、とGoogleは明記しています。コラムや解説記事を継続的に更新している士業の事務所サイトも、利用者から指名される対象です。
変更2:発展中のトピックや一次情報を目立たせるカルーセル表示
AI検索の回答の直下に、関連する記事をスライド形式(カルーセル)で並べる表示が導入されます。発展中のニュースや、利用者が記事そのものを読みたいと考えそうな検索に対し、優先ソースを含む複数の記事が大きく表示されるようになります。同時に、フォーラムやSNSからの「生の声」を集めたカルーセルも提供されます。
変更3:「Highly Cited(頻繁に引用されている)」ラベル
検索結果ページの記事リンクに、多くの他の記事から引用されている「一次報道」「原典」に近い記事を示す「Highly Cited」ラベルが付くようになります。AI検索の中だけでなく、通常の検索結果ページ全体に広がっていく機能である点が重要です。
2. なぜ士業にとって、これが特別に大きな意味を持つのか
3つの変更は、いずれも同じ方向を向いています。「誰が書いたか分からない大量生産コンテンツ」から、「実名で発信している一次情報の書き手」へと、AIが情報源を選び直そうとしているということです。
これは法律・税務・労務といったYMYL領域(Your Money or Your Life:人々の財産や人生に重大な影響を与える領域)で特に強く働きます。相続登記、事業承継、労務トラブル、許認可。いずれも誤った情報源にあたれば、利用者の人生や財産に直接的なダメージが及ぶ分野です。Googleが、有資格者本人の一次情報を見分けようとする方向に大きく舵を切った──今回の発表は、その姿勢の表明でもあります。
第1回でお伝えしたとおり、AIは「人間の言葉」ではなく「サイトの構造」で専門家を見分けようとしています。今回の優先ソース機能は、ここに「利用者からの指名」というもうひとつの軸が加わったということです。継続的なファンを持っている事務所ほど、AI検索の中で確実に強くなる構造です。
→士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門【第1回】はこちら
【第1回】士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:なぜ実績豊富な先生のサイトがAI検索で「見えない」のか
3. 見落とされがちな、もうひとつの公式発表 ── 「優先ソースはランキングシグナルになる」
ここからが、今回の発表で最も重要な部分です。多くの解説記事ではあまり強調されていませんが、Googleは今回、踏み込んだ将来計画を公にしました。
「現在は、優先ソースに登録したサイトがたまたまAI検索の回答に含まれた場合に“Preferred”バッジが付与される段階だが、Googleは今後、優先ソースをAI機能全体のランキングシグナルとして使う方向で取り組んでおり、利用者が選択したサイトがより頻繁に表示されるようにしていく」
この一文の意味するところは、極めて大きいものです。
現時点では、「優先ソースに登録してくれた利用者の画面でだけ、優先表示される」仕組みです。しかしGoogleは将来的に「どれだけ多くの利用者から優先ソースとして登録されているか」を、AI検索全体での評価指標として使うことを公式に表明しました。
つまり、優先ソースの登録者数が多い事務所サイトは、その事務所をまったく知らない検索ユーザーに対しても、AI検索の回答で優先的に引用される未来が、明確に予告されたということです。検索エンジンの歴史で言えば、被リンク数がランキング要因になった2000年代初頭の変化に匹敵する転換点と言えるかもしれません。
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)のうち、これまで最も測りにくかった「Authoritativeness(権威性)」が、利用者からの指名数という形で可視化される。士業のように資格と実績が問われる業種にとって、これは強い追い風です。地域でファンに支持されている事務所、メルマガや継続的なコラムで読者を抱えている事務所が、AI検索でもそのまま強くなる、極めて納得感の高い構造です。
4. 日本上陸を待つ間に、今すぐ準備すべき3つのこと
AI検索版の優先ソースは、現時点では米国から先行してロールアウト(段階的展開)されている状況です。先行する「トップニュース」版は2026年5月1日に日本語を含む全言語に対応済みなので、AI検索版が日本に来るのも遠い未来ではないと見るのが妥当でしょう。機能が日本で有効化されてから動き出すのでは遅れます。今のうちから準備しておきたいことが3つあります。
準備1:自分の事務所サイトの「優先ソース登録URL」を把握しておく
Googleの優先ソース登録URLは google.com/preferences/source?q=【ドメイン名】 という形式です。ご自身の事務所サイトのドメインを当てはめれば、利用者がワンクリックで貴所を優先ソースに登録できるリンクが今すぐ作れます。コラム末尾やプロフィールページに設置する「優先ソース登録ボタン」のデザインを先に用意しておけば、機能の日本対応と同時にサイトへ反映できます。海外では9to5Googleなど大手メディアが、すでに記事末尾にこの登録ボタンを設置し始めています(海外大手メディアはGoogleロゴ入りのボタンを設置していますが、Googleのブランド利用ガイドラインで、公式承認されたアセット以外のGoogleロゴ使用は認められていないため、現時点で自作ボタンにGロゴを組み込むのは避けるべきです。公式から優先ソース用バッジが配布されるようになったら使用できます)。
※試しに押してみてください(当社サイトでテスト設置中)
登録自体は今すぐ可能です。現時点ではトップニュース欄での優先表示が中心で、AIによる概要・AIモードでの優先表示は今後の日本展開を待つ段階です。
当社サイトでも、本コラム公開と同時にこのボタンを設置しました。日本でAI検索版の優先ソースが有効化された瞬間に効果が出る状態にしておく ── 本コラムでお伝えしている「準備の前倒し」を、自社サイトでも実践しています。
準備2:既存クライアントへの「事前告知」の準備
AI検索の時代における集客は、不特定多数への露出競争ではなく、既存のファンとの関係を深める活動に重心が移っていきます。「昨今、AIによる不正確な法律・税務情報の拡散が懸念されていますが、まもなくGoogle検索にて、当事務所を『信頼できる専門家(優先ソース)』としてご登録いただけるようになります。安全な情報収集のためにぜひご活用ください」──こうした権威性を高める事前告知の文面を、メルマガやLINE公式アカウント向けに今のうちから準備しておくと、機能の日本対応とほぼ同時にスタートが切れます。
準備3:「指名されるに値する一次情報」の蓄積を始める
最終的に効くのは、利用者が「この事務所のコラムなら登録しておきたい」と思える、地に足のついた一次情報です。「相続税とは」のような一般論ではなく、「前妻の子がいる場合の遺産分割協議の進め方」「相続登記義務化後、3年以内に手続きできなかったケースの取扱い」のような、実務に根ざした具体的なQ&Aや解説記事こそが、AIにとっての「Highly Cited」候補になります。コンテンツの作成は機能の日本上陸を待たずに今日から始められる、最もリードタイムの短い投資です。
5. シリーズ本編へ ── 「指名される側」になるための土台づくり
今回の号外でお伝えしたかったのは、AI検索の世界が「アルゴリズムに選ばれる」から「利用者に指名される」へと、明確に舵を切ったということです。そして、その変化は士業の先生方にとって、これ以上ない追い風になります。
ただし、利用者から指名されるためには、その前提として「AIに本物の専門家として認識されている」ことが必要です。AIに認識されていないサイトは、そもそも検索回答の候補に挙がらない。優先ソース機能も、その土台の上で初めて効きます。第1回でお伝えした「構造化データ」というAI用の身分証は、まさにこの土台にあたります。次回からの本編シリーズでは、これを士業サイトにどう実装していくか、ページタイプ別に具体的にお伝えしていきます。
当社では「士業サイトのAI検索(AIO)適合度診断」を準備中です。先生のサイトが、AIから見て「本物の専門家」として認識される土台が整っているか、士業サイト専門の担当者が無償で診断いたします。受付開始の詳細は近日中にご案内いたしますので、もう少しお待ちください。AI検索の地殻変動に、ご一緒に乗っていければと思います。
出典
・Google公式ブログ「The Keyword」(2026年5月27日付、Duncan Osborn氏) https://blog.google/products-and-platforms/products/search/original-high-quality-content-search/
・Google Brand Resource Center「Rules for proper usage」 https://about.google/brand-resource-center/rules/
・9to5Google「Google AI Mode and AI Overviews will highlight your Preferred Sources」(2026年5月27日) https://9to5google.com/2026/05/27/google-ai-mode-preferred-sources/
・ケータイWatch「Google、AI検索に『優先ソース』機能追加 信頼できる情報を見つけやすく」(2026年5月28日) https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/2112447.html
・Google Japan Blog「Google 検索 の Preferred Sources 機能が日本語で利用可能に」(2026年5月1日 ※トップニュース版の日本語対応) https://blog.google/intl/ja-jp/products/explore-get-answers/search-preferred-sources/


