
前回は、プロフィールページの整え方をお話ししました。プロフィールページが答えるのは「この人は誰か」――つまり人物の証明でした。今回取り上げる取扱業務ページが答えるのは、その隣にあるもうひとつの問いです。「この事務所は、何ができるのか」。いわばサービスの証明です。
前回コードらしきものを一度覗きましたが、今回もそのスタイルは変わりません。途中で 短い断片をお見せしますが、読めなくて大丈夫、という点も前回と同じです。雰囲気だけ受け取っていただければ十分です。
これまでの『士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門』はこちら
→第1回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:なぜ実績豊富な先生のサイトがAI検索で「見えない」のか
→番外編:【号外】AI検索に『お気に入り登録』機能 ── 士業サイトに今、起きていること
→第2回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:構造化データという「AI用の身分証」を理解する
→第3回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:プロフィールページのAI検索(AIO)対応 -- 士業の「資格・登録番号」をAIにどう伝えるか
「相続に強い」と書くだけでは、AIには伝わらない
多くの士業サイトの取扱業務ページには、「相続に強い」「相続を得意としています」「相続のことなら当事務所へ」といった言葉が並んでいます。人間の訪問者にとっては、頼もしく、わかりやすい表現です。
けれど、ここまでの回でお伝えしてきたとおり、人間向けの文章でそう書くことと、AIにサービスとして認識されることは、別の話です。「相続に強い」という一文を、AIは「この事務所が相続のサービスを提供している」とは自動的には受け取りません。AIにとっては、あくまで文章の中の一節にすぎないからです。
ここで前回との違いを整理しておきます。プロフィールページでは、対応分野の欄に「相続登記」と入れる、という話をしました。あれは「この人物は相続登記に詳しい」という、人の属性の宣言です。一方、取扱業務ページで必要なのは、「この事務所が相続登記というサービスを、現に提供している」という、サービスそのものの宣言です。似ているようで、人を説明しているのか、提供している業務を説明しているのか、立っている場所が違います。
サービスの欄には、何を入れるのか
では、取扱業務ページにはどんな欄があるのでしょうか。プロフィールが「人」の欄だったのに対して、ここは「サービス」の欄です。相続登記を例に、主なものを挙げます。
① サービス名
何のサービスかを示す、最も基本的な欄です。「相続登記」「遺言書作成サポート」のように、提供している業務をはっきり名前で示します。
② サービスの種別(何をする手続きか)
そのサービスが具体的に何をするものなのかを示す欄です。たとえば相続登記なら「相続による不動産の名義変更手続き」というように、業務の中身を一段かみ砕いて添えます。サービス名だけでは伝わりにくい中身を、AIが理解できる形で補う部分です。
③ 対応エリア
どの地域向けのサービスかを示す欄です。ここはAI検索でとても効きます。利用者がAIに「新宿区で相続登記を頼める事務所は?」と地域を添えて尋ねたとき、対応エリアが埋まっている事務所ほど候補に挙がりやすくなる。漠然と全国対応とするより、実際に対応している市区町村名まで具体的に並べるほうが、AIにとっては手がかりが増えます。
④ 対象者
そのサービスが誰のためのものかを示す欄です。相続登記なら「相続人」「不動産を相続した方」など。これも、AIが「相続人向けのサービスを探している利用者」とサービスを結びつけるときの手がかりになります。誰に向けた業務なのかが明示されていると、AIはより的確に提示できます。
対応エリアと対象者――この二つは、人間向けの文章ではつい省略されがちですが、AIにとっては「どこの・誰のためのサービスか」を判断する大事な欄です。サービス名だけでなく、その周辺の欄まで埋めておくことが効いてきます。
「誰が提供しているか」を、必ず結ぶ
ここが今回の最も大事なところです。
取扱業務ページを、そのページ単体で完結させてはいけません。「このサービスは、誰が提供しているのか」を、必ずプロフィールや事務所の情報と結びつける必要があります。前回、コラムの著者とプロフィールがつながっていないともったいない、という話をしましたが、それとまったく同じ発想です。
サービスの情報だけが宙に浮いていると、AIにとっては「相続登記というサービスが存在するらしいが、誰がやっているのかは不明」という状態になります。これでは、せっかくサービスを構造化しても、信頼の土台であるプロフィール(人物の証明)とつながりません。
逆に、サービスと事務所、事務所と所属する有資格者が一本につながっていると、AIはサイト全体を「ひとつの専門家集団が、責任を持って提供している情報」として理解します。相続登記というサービスがあり、それを提供する事務所があり、その事務所には資格・登録番号を持つ専門家がいる――この鎖がつながって初めて、サービスの宣言に重みが生まれるのです。前回整えたプロフィールが、ここで効いてくるわけです。
実際にはこう書く(コードを少しだけ)
前回と同じく、裏側の断片を一度だけ覗いてみます。今回はサービスを表す部分です。
"@type": "Service",
"name": "相続登記",
"serviceType": "相続による不動産の名義変更手続き",
"areaServed": ["新宿区", "渋谷区", "東京都"],
"provider": (山田司法書士事務所)
前回と同じで、左側の英語の見出しがそのまま欄の名前です。name がサービス名、serviceType が種別、areaServed が対応エリア。そして最後の provider が、まさに前章でお話しした「誰が提供しているか」にあたります。ここで事務所と結びつけることで、サービスの情報が宙に浮かず、提供者のはっきりしたサービスになるのです。
ここで、料金についても少し触れておきます。実は、料金もこうした欄として構造化することができます。「いくらのサービスか」をAIに伝えられれば、費用を気にする利用者に届きやすくなる、という利点はあります。
ただし、士業の料金表記は、慎重に扱うべき領域です。業務によっては広告に関するルールに気を配る必要がありますし、相続のように事案ごとに費用が大きく変わる業務では、固定の金額を一つ出してしまうと、かえって実態と合わなくなることもあります。ですから料金の構造化は、「やればいい」という単純な話ではありません。出すのか、出すなら範囲で示すのか、注釈をどう添えるのか――このあたりは、業務の性質と事務所の方針に合わせて、専門家と相談しながら慎重に決めるべきところです。今回は深入りせず、「料金も構造化はできるが、士業では扱いに注意が要る」という点だけ押さえておいてください。
先生の取扱業務ページは、サービスとして認識されているか
今回は、取扱業務ページについてお話ししました。「相続に強い」と人間向けに書くことと、そのサービスをAIに認識してもらうことは別であること。サービスには名前・種別・対応エリア・対象者といった欄があり、そして何より「誰が提供しているか」を事務所やプロフィールと結ぶことが大切であること。
これまでの回と同じく、こうした裏側のつくりは、ご自身でページを眺めているだけでは見えてきません。「相続に強い」と大きく掲げたページほど、裏側ではサービスが構造化されていなかった、ということが起こり得ます。
当社の「士業サイトのAI検索(AIO)適合度診断」では、取扱業務ページのサービスが正しく構造化され、事務所やプロフィールと結びついているかも含めて、士業サイトを専門に手がけてきた当社の担当者が診断いたします。ご自身では見えない裏側を、一度確かめてみてください。
受付の詳細は、先日メルマガにてご案内いたしました。メルマガをご購読の方から無料診断を受け付けておりますので、ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。一般の受付は後日ご案内いたしますので、暫しお待ちください。
次回は、執筆・登壇・メディア掲載といった「専門家としての活動実績」を、AIにどう正しく伝えるかをお話しします。これまで何度か触れてきた「たどれるようにしておく」という考え方が、いよいよ主役になる回です。
『士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門』記事一覧
→第1回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:なぜ実績豊富な先生のサイトがAI検索で「見えない」のか
→番外編:【号外】AI検索に『お気に入り登録』機能 ── 士業サイトに今、起きていること
→第2回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:構造化データという「AI用の身分証」を理解する
→第3回:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:士業サイトの「AI検索(AIO)」対策入門:プロフィールページのAI検索(AIO)対応 -- 士業の「資格・登録番号」をAIにどう伝えるか


