先生のサイトのその一言『うっかり違反』かも -- 士業の広告規定と、ホームページ表記で気をつけたいこと

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先生の事務所サイトには、これまでの実績や「どこに強いか」が、きちんと書かれていることと思います。ところが、その自信のこもった一文が、所属する会の広告規定に照らすと“うっかりアウト”になっている——そんなケースが、士業のサイトでは少なくありません。

一般企業の広告であれば自由に書けることでも、士業には「会の広告規定」という、もう一段のルールがあります。しかも今は、人だけでなくAIがサイトを読む時代です。ChatGPTやGoogle AI Overviewといった生成AIによる検索——AI検索(AIO)——が広がるなかで、実は「会の規定を守る書き方」と「AIに正確に伝わる書き方」は、同じ方向を向いています。本コラムでは、その重なりを手がかりに、ホームページの表現で気をつけたい点を整理します。

はじめに、お断りを一つ。以下は法的な助言ではなく、士業サイトを長年制作してきた立場からの、表記上の注意喚起です。広告規定は会や時期によって異なり、改正もされます。最終的なご判断は、必ず所属会の最新の規程でご確認ください。

① 司法書士から:「品位」という、見えにくい基準

まず司法書士の例から見てみましょう。司法書士法は、司法書士の職責として「常に品位を保持し……公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」と定めています。広告についても、禁止事項が条文にずらりと並ぶというより、この「品位の保持」を土台にした会則・倫理規程による自主規制が中心です。

ここに、最初の落とし穴があります。「何を書いてはいけないか」が具体的に列挙されていないため、どこまでが許されるのかを、自分で判断しなければならないのです。たとえば「登記は絶対に失敗しません」といった断定や、「県内No.1の実績」といった最上級の表現。これらは、根拠を示せなければ「品位を欠く」「事実と異なる」と受け取られかねません。書いた本人は強みをアピールしているつもりでも、基準が明文化されていないぶん、後から問題を指摘されるリスクが残ります。

② 士業ごとに“濃淡”がまるで違う——規定の地図

実は、広告規定の厳しさは、士業によってかなり違います。自分の資格が「どのあたりの温度か」を知っておくと、点検の勘どころが見えてきます。濃い順に並べてみます。

最も整備されているのが弁護士です。かつて弁護士は広告そのものが禁止されていましたが、平成12年(2000年)に解禁され、日本弁護士連合会の「業務広告に関する規程」でルールが定められました。さらに、その解釈を示す運用指針があり、事実に合致しない広告、誤認を生じさせる広告、誇大な広告、ほかの弁護士との比較広告などが、禁止または制限されています。広告に氏名や所属弁護士会を表示する義務もあり、士業のなかでは最も具体的です。

税理士も、かつては広告が制限されていましたが、税理士法の改正で原則自由化されました。ただし、自由といっても野放しではなく、各税理士会が運用指針を設け、品位を損なう広告や過当競争を招く広告を「禁止される広告」として挙げています。

司法書士と行政書士は、先ほどの司法書士の例と同じく、法律に定められた「品位の保持」を土台に、会則・倫理規程による自主規制が中心です。かつて公正取引委員会がこの両資格の広告規制を実態調査の対象にしたこともあり、自主的なルールとして根づいています。

社会保険労務士は、もう少しシンプルです。広告について法令上の規制はなく、連合会の倫理規程準則に「品位や良識を損なうような広告・宣伝をしてはならない」という趣旨の条項が置かれているのが中心です。一見ゆるやかですが、これが次にお話しする落とし穴につながります。

弁理士も、弁理士法が「品位の保持」を職責として定め、会の弁理士倫理が品位を失墜する行為を禁じています。実際に弁理士会では、極端な低価格を強調するネット広告や、「登録できなければ全額返金」といった表示が、品位を汚し、誤った印象を与えるとして問題視されてきました。

③ 社労士の落とし穴:「曖昧な基準」ほど、後から効く

ここで注意したいのは、「禁止事項が少ない=安全」ではない、ということです。むしろ基準が曖昧なほど、“後から”問題になりやすい。社会保険労務士が、そのわかりやすい例です。

たとえば「社長の味方です!」というキャッチコピー。経営者に向けた力強い打ち出しに見えますが、一方の立場へ強く寄った表現は、中立性や品位の観点で目に留まりやすいものです。社労士は、使用者側にも労働者側にも関わりうる立場ですから、どちらか一方だけの“味方”を前面に出すと、バランスを欠くと受け取られる余地があります。

制作の現場でも、こうした表現が修正に至った例が実際にあります。明文で「このコピーは禁止」と書かれていなくても、品位という包括的な基準に照らして指摘が入る——曖昧さは、安心材料ではなく、注意すべきポイントなのです。

④ 資格を問わず危ない“4つの表現”と、景表法という第二の網

ここまでを踏まえて、資格に関わらず気をつけたい表現を4つに整理します。そのまま、ご自分のサイトの点検リストとしてお使いください。

一つめは、根拠のない最上級・No.1表現。「地域No.1」「最も選ばれている」などは、客観的な裏づけを示せなければ危険です。二つめは、成果の保証・断定。「必ず」「確実に」「100%」といった言い切りは、とくに結果に関わる業務で問題になりやすいものです。三つめは、中立性を欠く一方的な表現。先ほどの「◯◯の味方」はここに当たります。四つめは、裏づけのない権威づけ。「公認」「第一人者」といった言葉を、実体を伴わずに使うのは避けたいところです。

そしてもう一つ、見落とされがちなのが景品表示法です。これは士業に限らず、あらゆる事業者にかかる法律で、実際より著しく優れていると見せる「優良誤認」や、取引条件を著しく有利に見せる「有利誤認」を禁じています。つまり先生のサイトには、「所属する会の規定」と「景品表示法」という二重の網がかかっているわけです。会の規定だけ、あるいは景表法だけを見ていると、どちらか一方を見落とします。

⑤ ここでAIにつながる:「規定を守る」ことが「AIに選ばれる」ことになる

さて、ここまでの話は、AI検索(AIO)とは無関係に見えて、実は深くつながっています。

広告規定が嫌う「誇大」「断定」「根拠のない最上級」は、AIが評価する「正確で、検証可能で、裏づけのある専門性」と、ちょうど裏表の関係にあります。言い換えれば、規定を守って正確に書くことは、そのままAIに正しく理解されやすい書き方になるのです。逆に、AI検索で目立ちたいからと実績や肩書を“盛る”と、会の規定にも景表法にも、そしてAIからの信頼にも背くことになります。

私たちが以前のコラムで繰り返しお伝えしてきた「盛らずに、正確に書く」という姿勢は、AI対策のテクニック以前に、士業として当然のコンプライアンスでもあった——そう捉えると、腑に落ちるのではないでしょうか。たとえば構造化データで、資格・登録番号・所属会を正確に記述することは、“盛らずに専門性を強く伝える”もっとも確実な方法です。この点は、第2回「構造化データという『AI用の身分証』を理解する」や、プロフィールページの回でも詳しくお話ししています。

むすびに

広告規定は、「書けないことを増やす、わずらわしいルール」ではありません。先生の専門性を、誇張ではなく事実で伝えるための後押しです。そして、その正確さこそが、AI検索(AIO)の時代に、人にもAIにも「信頼できる専門家」として選ばれる土台になります。

一度、ご自分のサイトの“その一言”を、今日の4つの視点で見直してみてください。もし、会の規定とAI検索(AIO)の両面で自分のサイトが大丈夫か不安だ、という場合は、無料のAI検索(AIO)適合度診断や、個別のご相談もご用意しています。どうぞお気軽にお声がけください。

(参考)

  • 日本弁護士連合会「弁護士の業務広告に関する規程」「業務広告に関する運用指針」
  • 日本税理士会連合会/各税理士会の広告に関する運用指針、および税理士法
  • 日本司法書士会連合会 会則・司法書士倫理(司法書士法)
  • 日本行政書士会連合会 行政書士倫理・行政書士職務基本規則
  • 全国社会保険労務士会連合会 倫理規程準則
  • 日本弁理士会 会則・弁理士倫理
  • 消費者庁 景品表示法(優良誤認・有利誤認)

※広告規定は改正されることがあり、運用は所属会によっても異なります。実際の表記のご判断は、必ず所属会の最新の規程・指針をご確認ください。

士業のホームページはわたしが担当します

取締役/WEBディレクター 加藤 忠

士業のホームページ制作に20年以上関わってきました。
日本でのインターネット創世記よりホームページをコツコツ作りはじめてかれこれ30年、グラフィックからWebまわりまで制作の人間ならではの、よりリアルで丁寧なご説明をさせて頂きます。今はAI検索(AIO)について日々研究中
有限会社ポーカー・フェイスは、士業特化21年/Web制作30年の実績を誇り、これまでに累計1,300件以上のWebサイト制作・運用に関与してまいりました。 士業分野に特化したWeb関連の専門知識とノウハウを有し、業界を牽引するリーディングカンパニーとして高い評価をいただいています。
有限会社ポーカー・フェイス業務内容【ホームページ制作、リスティング広告運用代行、Web集客、WordPress構築、AI検索(AIO)対策】

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