
Googleの提供する「Search Console」という分析ツールに、「生成AIパフォーマンスレポート」という新しいレポートが加わりました。
自分のサイトが、AI検索(AI OverviewやAI Mode)の回答の中で、どれくらい引用・表示されたかが分かるものです。
2026年6月に一部のサイトで先行的に導入され、その後段階的に対象が広がって、最近になって多くのサイトで確認できるようになりました。
先生ご自身も、つい最近このレポートを目にされたかもしれません。
これまで「AIにどう見られているか」は、いわば手探りでした。それが、ついに数字で見られるようになった。大きな前進です。
しかし、この数字、読み方を間違えると、かえって判断を誤ります。
今回は、AI検索の効果を測るうえで、この新しい数字とどう向き合えばよいのかを、実務の視点から整理します。
1. まず、「表示回数」とは何かを正しく知る
このレポートで最初に目に入るのが、「表示回数(インプレッション)」という数字です。
これは、AIの回答の中に、先生のサイトへのリンクが表示された回数を指します。
ただし、この数字にはいくつか、知っておくべき「クセ」があります。
まず、リンクが実際に画面に表示されて、はじめて1回とカウントされます。
AIの回答の下のほうにあって、スクロールされずに見られなかったリンクや、「もっと見る」の中に隠れたまま開かれなかったリンクは、カウントされません。
また、AIが回答の文章の中で「〇〇司法書士事務所によると」と名前を挙げていても、そこにリンクが貼られていなければ、表示回数には数えられません。
さらに、1つのAI回答の中で先生のサイトが2回参照されても、表示回数は「1回」として扱われます。
つまり、この数字は「実際にユーザーの目に触れたリンクの数」です。
裏側で参照されただけの分は含まれない、いわば控えめな数字だということを、まず知っておいてください。
逆に言えば、ここに数字が出ていれば、それは確かにユーザーの画面に届いた、という証でもあります。
2. 決定的に大事なこと:このレポートには「検索した言葉」が出てこない
そして、このレポートには、一つ大きな特徴があります。
どんな言葉で検索された結果、引用されたのかが、分からないのです。
通常のGoogle検索の分析では、「相続登記 費用」といった検索キーワードが確認できました。
しかしAI検索のレポートでは、この検索キーワードが開示されません。
分かるのは、「どのページが」「何回」表示されたか、というURL単位の情報だけです。
これは、Googleがプライバシー保護のために、あえてそうしている仕様です。
AIへの質問は、一人ひとり長く、個人的な内容を含むことが多いため、公開できないのです。
この「検索した言葉が分からない」という点が、実は次にお話しする、数字の読み方の落とし穴に、深く関わってきます。
3. 「表示回数が多い=良い」とは限らない
さて、ここが今回、最もお伝えしたいことです。
Search Consoleを開くと、つい「表示回数が多いページ=良いページ」「数字が伸びた=成功」と考えたくなります。
しかし、AI検索においては、表示回数の多さが、そのまま成果を意味するわけではありません。
実際に複数の士業サイトのデータを見ていると、ある傾向が見えてきます。
表示回数が飛び抜けて多いページは、たいてい、一般的な調べ物や時事的な話題を扱ったページなのです。
たとえば、「〇〇制度とは」「法改正の概要」といった、辞書的・一般的な情報を扱うページ。
こうしたページは、多くの人がAIに質問するため、確かに表示回数は伸びます。
しかし、思い出してください。前の項目でお伝えしたとおり、どんな言葉で検索されたかは分かりません。
そして、一般的な情報を調べている人の多くは、「知りたいだけ」で、まだ誰かに相談しようとは思っていない段階です。
つまり、表示回数が飛び抜けて多いページは、「たくさん見られているが、相談には結びつきにくい」可能性が高いのです。
この数字だけを見て「成功している」と判断してしまうと、実態を見誤ります。
4. 本当に見るべきは「どのページが引用されているか」
では、何を見ればよいのか。
答えは、表示回数の「量」ではなく、「どんな内容のページが引用されているか」という「中身」です。
ここでも、データから見えてくる傾向があります。
「費用はいくらか」「手続きにどれくらいかかるか」「期限を過ぎたらどうなるか」
——こうした、具体的で切実な疑問に答えるページは、表示回数こそ数百回といった控えめな数字にとどまることが多い。
しかし、こうしたページを見ている人は、すでに具体的な依頼を検討している、相談に近い段階の人です。
一般論のページが1万回表示されるより、「費用」のFAQが数百回引用されるほうが、事務所にとってはるかに価値が高い。
なぜなら後者は、まさに依頼を考えている人の目に、先生の事務所が触れているということだからです。
これは、このコラムシリーズで繰り返しお伝えしてきた「量より質」という考え方の、効果測定における現れです。
表示回数という数字は、大きさで一喜一憂するものではなく、「依頼に近い、価値あるページが引用されているか」を確認するために使う。
これが、正しい読み方です。
5. 「表示」の先にある「相談」まで、繋げて見る
もう一歩進んだ見方もお伝えしておきます。
この生成AIレポートは、表示回数までしか分かりません。
その先、つまり「AI検索で見た人が、実際にサイトを訪れ、相談に至ったか」までは、このレポート単体では追えません。
そこで、サイトのアクセス解析ツール(GA4など)と組み合わせて見ると、より深いことが分かります。
AI検索で引用されたページに、実際にどれくらいの人が訪れ、そのうち何人が問い合わせや相談に進んだか。
ここまで繋げて見ると、「どのページが、本当に相談を生んでいるか」が見えてきます。
そこまで細かく追うのは大変だと感じられるかもしれません。
要点はシンプルです。
「表示回数という入り口の数字だけで判断せず、その先の相談まで見て、初めて成果が分かる」
——この意識を持っておくことが大切です。
数字は、あくまで実際の相談・受任という最終成果を確認するための、入り口にすぎません。
6. まとめ:数字に振り回されず、「質の高い露出」を育てる
AI検索の効果が数字で見えるようになったのは、大きな前進です。
しかし、数字が見えるようになったからこそ、その読み方が問われます。
大切なのは、次の3点です。
表示回数は「実際に目に触れた控えめな数字」であること。
飛び抜けて多い数字は、一般的な調べ物である可能性が高いこと。
そして、本当に価値があるのは、表示回数の大小ではなく、「費用」「期限」といった、依頼に近い人に引用されるページだということ。
「表示回数が減った/少ない」と不安になる必要はありません。
逆に、「表示回数が多い」ことに安心しすぎるのも危険です。
見るべきは、量ではなく、質。依頼を検討している人に、先生の専門性がきちんと届いているか。
その視点で数字と向き合えば、AI検索のレポートは、これからのサイト運営を導く、心強い羅針盤になります。


